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2月8日(ブルームバーグ):4月に改定される政府の輸入小麦売り渡し価格が2009年10月以来、最大の下落率を示す可能性が高い。山崎製パン日清製粉など食品メーカーにとっては、製品価格の下げ圧力となる。

  アジア第2位の小麦輸入国である日本は、消費する小麦の9割近くを輸入に頼っており、その約6割が米国産。海外からの小麦は政府がすべて買い取った上で、民間の製粉各社に売り渡している。

  SMBC日興証券の予想によると、改定価格は現行価格の1トン当たり5万7720円に比べ10%程度安くなる見通し。日清製粉や昭和産業など27社で構成する製粉協会の算定では、同程度の値下げとなった場合のコスト削減効果は、製粉業界全体で年間290億円程度になる。

  農林水産省生産局農産部貿易業務課の岩濱洋海課長によると、輸入小麦の売り渡し価格は、直近6カ月間の平均買付価格を基に算定。国際市況の動向を踏まえて4月と10月の年2回見直しを行っているが、今回は円高なども影響するという。外国為替市場のドル・円相場は昨年10月に円の過去最高値1ドル=75円35銭を付けた後も円買い圧力が根強く残っており、76円台で推移している。

デフレ圧力

  今年4月からの小麦の売り渡し価格は2月下旬に発表されるとみられるが、2年半ぶりの値下げとなれば、消費者向けの食品価格の低下に拍車をかける可能性がある。SMBC日興証券の沖平吉康シニアアナリストは、製粉メーカーにとっては、小麦価格の下落分が「きれいに製品価格に転嫁する」とした上で、製パン業界については「値下げに動かざるを得ない。原料分だけ製品価格を下げるならよいが、同業他社が下げるので値下げ競争が始まる」と予想している。

  日本の昨年12月の全国の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)は、前年比で3カ月連続のマイナス。景気の持ち直しの動きが、海外経済の減速や円高の影響などから一服しており、コアCPIの伸びは当面ゼロ近傍で推移するとみられている。

  輸入小麦は、今年1月までの過去5カ月の港湾使用料などを含めたコストが約15%下落している。この傾向が続けば、政府の小麦売り渡し価格の下落率は09年10月に付けた23%以来、最大となりそうだ。

  シカゴ商品取引所(CBOT)で取引されている小麦先物の中心限月は、昨年2月に2年半ぶりの高値に達した後、下落傾向にある。昨年の下落率は年末ベースの比較で17.8%と08年以来最大となった。8日午前9時16分現在は、1ブッシェル当たり6.645ドル付近で推移。中心限月の過去最高値は、08年2月に付けた13.495ドルだった。

食品価格

  政府は昨年、過去3年間で最大となる小麦売り渡し価格の値上げを実施した。4月に4万7860円から18%引き上げた際には、国内最大のパンメーカー山崎製パンが7月出荷分から08年以来の値上げへ踏み切り、一部の製品価格を5-7%程度引き上げた。SMBC日興証券の沖平氏は今回も「製パン業者などが実際に値段の下がった小麦を買い始めるのが7月頃からになる」とみている。

  農水省の発表によると、日本の製粉用小麦の1月の輸入量は47万4705トンで、米国、カナダ、豪州などから仕入れた。1トン当たりでは平均2万7103円を支払った。昨年12月の2万7255円から下落し、前年同月比では28%安くなっている。

  国連食糧農業機関(FAO)が穀物や油脂類、肉類などの価格変化を基に算出している食料価格指数(2002-04年=100)は昨年2月、過去最高の238を記録。昨年通年の平均は228ポイントと、前年比で23%上昇し08年に記録した過去最高水準の200ポイントを上回った。08年にはハイチやエジプトなどで食料高騰をめぐって暴動が発生した。指数はこれ以降、昨年12月までに11%低下している。